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主な診療実績・統計

回復期リハビリテーション病棟の診療実績 2011年度

院長 服部文忠

はじめに

 当院の回復期リハ病棟は2003年1月、30床で開設され、2006年6月60床に増床し、地域完結型の医療にふさわしいレベルの高い回復期リハ病棟を目指し、リハビリテーション科専門医とリハビリテーション科臨床認定医の医師によって指導・運営され、急性期病院への報告に加えてデータを学会等に発表しているが、2011年度の診療実績を報告する。

 回復期リハビリ病棟の成績は通常A:脳血管疾患で算定上限150日のものとB:高次脳機能障害を伴った重症脳血管障害で算定日数180日のものと分類された上で報告されているが、およそ学術的とは言いがたく、この報告では脳血管疾患の病型などに従って解析した。また、回復期リハビリ病棟の主要疾患である大腿骨頸部骨折の成績も検討した。

1.回復期リハビリ病棟の疾患頻度

 当院回復期リハビリ病棟の入院患者の内訳を示す(図1)。2011年度は総数名で、脳血管疾患(脳外傷も含む)が最も多く、整形外科疾患、次いで廃用症候群という傾向は例年と変わりない。

2.脳血管障害

 回復期リハビリ病棟の疾患分類に脳血管疾患があるが、脳血管障害以外の疾患も含まれる。今回、大部分を占める脳血管障害で、死亡ないし急性期病院再入院となった例を除いた初発症例は95例であった(図2)。脳出血が減少し、軽症化したと言われるが、未だに回復期リハビリ病棟に転院する脳出血患者が多いことがわかる。

 図3に脳梗塞52例の病型分類を示す。分類不能が多くなっているが、急性期の病院で精査しても、分類できない梗塞とその他の梗塞が多い現状を表している。これまでアテローム血栓性脳梗塞が最多であったが、今回初めて心原性脳塞栓が最多となった。

3.脳血管障害の治療成績

 まず、大まかな傾向を示すため、図4に各脳血管障害初発例の発症から当院転院までの日数、入院期間の中央値を示す。脳血管障害の発症から転院までの日数は中央値23日で、約3週間に近づいている。くも膜下出血が発症から転院してくるまでの日数が多い。脳血管障害の在院日数の中央値は109日であるが、ラクナ梗塞とアテローム血栓性梗塞の在院日数が短かった。

 例年、ラクナ梗塞は他の病型に比してかなり短いという傾向を示してきたが、症例数が多数とは言えず、今回の特徴を説明する要因は分析しえなかった。自宅と居宅施設を合わせた在宅復帰率を図5に示す。全体として81%であるが、ラクナ梗塞とアテローム血栓性梗塞は100%であった。初発脳血管障害の退院先を図6に示す。

 脳血管障害初発例の治療効果をADLの評価であるFIM(機能的自立評価法)註1)の推移で示した(表1)。入院時FIMが66.5/126と重度のADL障害を持つ患者を対象としていることがわかる。入院時と退院時のFIMの差はFIM利得といい、リハビリの効果を表すが、29とまずまずの成績を示している。FIM利得を在院日数で割って得られるFIM効率はリハビリの効率を表すが。0.27であり、他の施設と較べて遜色のない成績である。




4.大腿骨頸部骨折

 表1には大腿骨頸部骨折56例(入院中、急性期病院に再入院した患者を除く)の成績も示す。平均年齢が高く、女性が多いという一般的な傾向が示されている。入院時のFIMは70.5/126で脳血管障害より高かったが、FIM利得は20.9と低く、退院時FIMは91.4、在宅復帰率82%で、脳血管障害と変わらなかった。FIM効率は0.33と脳血管障害より高く、FIM利得が低いのは在院日数が63日と脳血管障害に比して短いことによることは明白である。

 図7に退院先を示すが、脳血管障害と同様の傾向を示す。回復期リハビリ病棟の入院日数の上限が90日であることが影響を与えていると考えられる注2)。大腿骨頸部骨折のリハビリ入院患者に脳血管疾患と同じ訓練時間(単位数)と入院日数を与えられれば、初発の脳血管障害より良い予後が得られることは明らかである。前回も回復期リハビリ病棟入院日数の算定上限に差が付けられていることは問題と指摘したが、今回も強調したい。

5.脳血管障害 急性期病院への再入院と死亡

 急性期病院へ再入院し、治療成績に含めなかった脳血管障害初発例は18名であった。様々な原因で再入院となっているが、脳血管障害の再発は2例で、他は様々であるが、大腿骨骨折、急性硬膜血腫という転倒に起因するものもあった。例年、悪性腫瘍の治療または精査のために転院する症例があるが、今回はなかった。

おわりに

 2008年4月より福岡市医師会方式脳血管障害地域連携パスが開始され、2012年5月現在でこのパスに参画する回復期リハビリテーション病棟を持つ病院は33施設であった。33施設中、2011年度、医師会への連携パスの情報交換用紙の報告実績は10施設447件で、当院は72件で16%を占める。福岡市医師会地域連携ワークショップにて報告された患者のアウトカムと当院のデータを比較したかったが、在院日数やFIMのデータの扱いが異なるので、今回は出来なかった。今後の課題としたい。また、リハビリ患者はトータルに診るべきであるとの立場から大腿骨頸部骨折と脳血管障害のFIMのデータを比較して回復期リハビリ病棟入院日数の算定上限について問題提起をした。

 診療報酬の上で高齢者のリハビリの単位数を制限しようとする動きがあるが、当院では高齢者といえどもリハビリの効果が低下することはないという印象を持っている。次回は高齢者の成績なども検討してみたい。



註1:FIM; Functional Independence Measure。米国で開発され、今や世界数十カ国で使用されているADL評価法であり、全18項目を介護量に応じて7段階で評価するので、満点は126点である。信頼性と妥当性が検証されており、リハビリ医学において予後予測、治療効果の判定で利用されている。

註2:回復期リハビリ病棟入院料を算定できる上限は脳血管疾患が150日ないし180日であるが、整形外科疾患は90日とされ、実質上回復期リハビリ病棟の入院期間が90日までに制限されている。

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