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主な診療実績・統計

回復期リハビリテーション病棟の診療実績 2008年度

リハビリテーション部 甲斐健児
院長 服部文忠

はじめに

 2008年は診療報酬の改定の年度であった。今回は大幅な改定ではなかったが、医療保険によるリハビリの算定日数制限と維持期リハビリの介護保険への移行という方針は踏襲されたままである。

 特に注目される改定は、大腿骨頚部骨折のみに認められていた地域連携パスの診療報酬が、脳卒中にも適応が拡大されたことと、リハビリテーションの入院料に「質の評価」という名目上の成果主義が導入されたことである。「重症患者の受け入れ15%以上」「在宅復帰率60%以上」などの基準を満たせば入院料に加算されるというものである。

 この成果主義の導入と地域連携パスの診療報酬が脳卒中パスにも拡大されたことには注意していく必要があろう。幸い当院では、「成果主義」に伴う要件を満たすための患者選別を行う必要もなく、例年通りに実績を積み上げている。

1.入院動向

 2008年度の総入院患者数は715名で、他病院からの紹介による入院患者の比率は年々増加している(図1)。そのうち594名(83%)がリハビリを実施しており、55%が回復期リハ病棟適応の患者であった。

 紹介元病院別に見るとほとんどが急性期病院からの紹介であり、回復期リハ病棟を持つ病院として、急性期病院との連携を行っていることが実績としてわかる(図2)。

2.回復期リハ病棟の実績

 ここでは全国平均等との比較などの便宜から、回復期病棟の算定制限日数による分類に基づいて集計を行った。

1 ) 疾患頻度と在院日数

 年次による疾患別割合は、ほぼ同様であるが、2008年度は脳血管疾患が占める割合が僅かに増し、廃用症候群の割合が減少の傾向にある(図3)。回復期適応患者数は年々増加しており、平均在院日数は短縮傾向にある(図4)。

2 ) 治療効果(FIMを指標にして)

 先に述べた分類に基づいて、入院時、退院時のFIM平均と、FIMの利得を在院日数で割ったFIM効率を示す。
A脳血管疾患:入院時FIMが年々低下しており入院時の重症化傾向が見られるが、退院時FIMは変化なく、その分FIM利得が増加していることを示す(図5)。

B脳血管+高次脳:高次脳機能障害を有する脳血管疾患患者の入院時、退院時FIMが他の疾患に比べて最も低値を示しているが、FIM利得に大差はなく、リハビリの効果を上げることができると考えられる(図6)。

C整形外科疾患:高次脳機能障害を有しない脳卒中患者と同様の傾向で、入院時FIMが低いが、退院時は良好なFIM利得を得ている(図7)。

D廃用症候群:他の疾患に比し退院時のFIM利得はやや低いが、一定のFIM利得を得ていることは廃用症候群のリハビリの重要性を実証している(図8)。

3 ) 転帰先

 2007年度と比較すると急性期病院への転院まで含む全患者の在宅への復帰率(在宅等を含む)が低下傾向を示す(図 9 )。要因としては急性期病院および療養型病院への転院の割合が増したことにある。急性期病院へ転院となった原因を表1に挙げるが、これまで指摘したとおり、悪性腫瘍が発見されて転院になった症例が一定の割合を有する。

 転帰別にFIMを比較すると、在宅復帰者(在宅等を除く)が入退院時FIM、FIM利得ともに最も高い(図10)。また年次で比べるとFIM利得は年々増加している。入院時のFIMが50点より低いと在宅復帰が困難になる傾向を表しており、入院時の予後予測の指標にもなる。

3.脳血管障害:病型別頻度

 初発例の病型別頻度を示す(図11)。昨年と比較し、アテローム血栓性脳梗塞の割合が増し、分類不能の割合が減じているが、診断精度が向上していることの反映と考えられる。

4.脳血管障害:病型別の在宅復帰率

 例数の少ないくも膜下出血とラクナ梗塞を除いた初発例の病型別の在宅復帰率(急性期病院への転院を除く)を示す(図12)。その結果のためか病型により在宅復帰率が大きく異なるという結果はなかった。

おわりに

 一病院の集計であるが、毎年集計することによって、年毎により重度の障害を持つ患者に対し、より効率的なリハビリを行っているという一定の傾向がわかる。2009年度は回復期病棟の患者一人当たりの平均1日訓練単位数を増やしたので、その効果を検証したい。

 維持期リハビリについてはこれまで診療実績としての分析が十分なされておらず、次年度の課題としたい。

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